日本の財政赤字が問題化して久しい。
いまどのくらいの赤字が累積しているかというと、色々な見方があるが普通国債残高は年々増加し、平成27(2015)年度末で807兆円程度に上る見込みである。
<財務省HPより>
これに地方債の残高を含めると軽く1,000兆円を越えるわけであるが、地方債はちょっと置いておいて、国債についてのみ考えて見ることにしよう。
807兆円の赤字をを単純に人口で割れば、国民1人当たり 約638万円、4人家族で 約2,550万円となる。これらのことは、財務省のホームページでも仰々しく書かれている。わざわざ4人家族のことまで記載するところが、財務省のアピールしたい思惑がありありと見える。
さて、ここで考えなければならないのは、 誰が国債を持っているかである。
そこで下のグラフを見てみよう。データの集計方法が違うので、若干金額が違うが所有割合に注目して欲しい。
<日銀HPより>
まずは日本銀行。こちらは約31.6%所有している。また、公的年金が5.7%、年金基金が3.7%である。これの合計41%は何を意味しているのかが問題である。
つまりこれは、一般企業で言うなら親会社が子会社に借金しているようなものである。当然、親会社子会社は連結決算するのが当然であるから、これらの借金は外側から見れば0である。(念のために言いておくと、日本銀行の出資金1億円のうち55%が政府が保有している。残りの45%は民間が保有しているが議決権もない。つまり日本銀行は、完全に政府のコントロール下にあるのだ)
こうなると当初に出した国債残高は、807兆円の59%で476兆円に減少した。
さらに、ここにゆうちょ銀行、かんぽ生命を考慮しなければならない。両者の残高は15年3月末時点でゆうちょ銀の国債保有残高は約106兆円だった。また、かんぽ生命の国債保有残高は約48兆円であった。
民営化されたとはいえ、ゆうちょ銀行もかんぽ生命も大株主は日本郵政株式会社であり(ゆうちょ銀行74%、かんぽ生命89%)、日本郵政株式会社の80%の株式を保有しているのは誰あろう財務大臣である。つまりこの両者も日本政府の子会社であるといえる。
となると、前述同じく連結決算するならば、外部から見れば借金は0である。
つまりは、476兆円ー106兆円-48兆円=320兆円となった。807兆円といわれている借金は、外部から見ると実は半分以下の320兆円だったのだ。
この数字に個人的な見解は入れない。ただ単に事実だけを並べた。どう評価するかは読者に任せることにする。