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大衆演劇の意外な市場規模

By編集部

10月 14, 2014

(photo by sentochihirokotohoumi)

派手な衣装にべったりした白塗り。
大きなミエ切りに、股旅もの、チャンバラ、人情劇、舞踊、演歌。。。

おそらく若い世代の人は、ほとんど見たことがないであろう大衆演劇

しかし、この大衆演劇。驚くなかれ、日本全国で連日100カ所以上の会場で1日2回上演され、意外なほど大きな市場規模を持っている。

果たして、どのくらいの規模なのか、ざっくり計算してみよう。
2011年のデータによると、大衆演劇「公式」総合情報サイトhttp://0481.jp/によると劇団数は170以上に及ぶ。
ただし、活動停止中の劇団も含まれているようなので、実際のところは、それよりも少ないようだ。

といっても会場として登録されている施設は190以上であり、平成23年10月には、実際に117会場で上演されている。
したがって、ほぼすべての劇団が、毎月どこかで公演しているといってもいいだろう。

さて、大衆演劇が上演される会場であるが、常設の劇場は25程度、その他は旅館・ホテルや大規模温泉施設などである。
だいたいの客席数は100~200名と小規模なところが多い。
入場料は、1,300円~2,000円程度である。
ここで、旅館・ホテル等の場合は、観劇料が宿泊代に含まれているが、これも通常の観劇料で計算してみたい。

1会場平均定員150名として70%の観客とし、観劇料は1,500円とすると、1日通常2回公演なので、150名×70%×2回×1,500円×117会場=36,855,000円。

1年で350日公演と計算すると、36,855,000円×350日=12,899,250,000円。
つまり、年間129億円ほどの観劇料収入となる。

ところが、大衆演劇の収入はこれだけではない。
それは、大衆演劇独特の「おひねり」である。
「おひねり」とは、役者に対するチップで、コアはファンにとって、祝儀袋や万札をお気に入りの役者の胸元に差し込んだり、クリップで留めたりするのが粋な楽しみ方となっている。

景気がいい頃には、1万円札で作ったレイを役者のクビに掛けたりしたようだが、昨今においても結構な万札が飛び交っている。

筆者がこれまで見た限り、まあ少なく見積もっても、1公演10万円くらいはあるように思われる。
もし、この推測が正しければ、

100,000円×2回×117会場×350日=8,190,000,000円。
「おひねり」での収入は、年間約82億円となる。

これを観劇料と合わせれば、129億円+82億円=211億円の市場規模となるのだ。
さあ、ここでその他の演劇の市場規模と比較してみよう。
「ぴあライブ・エンタテインメント白書」2009年度版を見ると、2008年度の演劇市場は、ステージ:動員数2,325 万人(対前年比3.4%増)、市場規模:1,671 億円(対前年比3.9%増)となっている。

この数字に大衆演劇分が含まれているのかどうかはよくわからないが、
(ひとり平均7,000円くらいなのでおそらく含まれていないだろうが)
「ぴあライブ・エンタテインメント白書」の数字を信用するならば、
大衆演劇は、演劇市場の10%以上を確保していることになる。

ちなみにお笑い/寄席・演劇市場は、同じく「ぴあライブ・エンタテインメント白書」2009年度版によると、2008年度で、1671億円の1割弱程度であるという。
大衆演劇は、この数字をも大きく上回っているようだ。

大衆演劇、恐るべしである。機会があれば、ぜひ一度観劇することをお勧めしておこう。

*人気が非常に高くなり、大きな劇場で公演するようになった劇団はのぞいて考察。