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いわゆる大阪都構想(大阪市廃止分割構想)が大阪に「民主主義」を呼び戻した

By編集部

4月 27, 2015

 (photo by onzou1)

大阪市では「特別区設置協定書」(大阪都構想または大阪市廃止分割構想)の賛否を求める住民投票が4月27日に公示され、5月17日に投票日を迎える。この結果、賛成多数となれば、2年後の2017年4月には、大阪市は廃止され5つの特別区と巨大な一部事務組合が誕生することになる。

この住民投票は、政令指定都市を制度が誕生以来、初めての廃止を問うものという意味だけでなく、大都市である大阪の市民が参加する日本の政治史上もっとも大がかりな住民投票であるということからも大変注目を集めている。

ここでは、この賛否は別にして、少なくとも大阪市内では「民主主義」なるものが機能しているという話をしておきたい。
そものそも民主主義とは、その地域、国などに所属する個人が集合の意思をもって所属する集団の意思決定を行う政治体制である。まあ、もうちょっと簡単に言うと所属する人々の多数決によって集団の意思決定するシステムである。

現在は自由選挙により、議員や首長を決める方式になっているが、どちらにしろその意思決定は、所属するひとりひとりが責任を持たなければならないのである。
つまり、面倒くさい政治のことは議員や首長などに任せているであるが、任せている以上、雇用者責任みたいなものがあり、(その人に投票しなかったとしても)選んだ住民が責任を持たなければならないのだ。

したがって、本来であれば、議員、首長などの候補者には、色々と協力したり、資金の援助をしたり、時には物事を教えたりして育てていかなければならないのである。そして、自分の意向を実行させるために、選挙に勝てるように尽力しなければならないのだ。

なんとも面倒くさい話なのであるが、これが民主主義の原点である。この部分が日本において、大いになおざりにされてきた部分である。特に都会では、ひとつの選挙区の人数も多いことから、この傾向が強い。

しかし、今、大阪市内では、多くの人達が都構想なるものに興味持ち、政治に関心を向け始めている。賛成派は市長・知事による大掛かりな説明会を開き、反対派は小さな説明会を積み重ねている。そんな説明会に、これまでまったく政治運動などしてこなかった人々それぞれの説明会に出掛け、その内容を吟味し判断しようとしている。
そして、ネット上でも賛成派、反対派双方がお互いを罵り合い、レッテルを張り合いながら(笑)、とりあえず激しい議論を続けている。

これぞ民主主義の原点といえる状態といえるだろう。よかれ悪かれ、橋下徹という男は、「特別区設置協定書」(大阪都構想または大阪市廃止分割構想)の賛否を求める住民投票を仕掛けることにより、大阪市に民主主義の原点を甦えらせたのである。

ただし、今回の住民投票のように、住民による直接選挙の危険性を認識しておかなければならない。現在、多くの国では議会制民主主義のスタイルであるが、これは住民に意思を直接諮るのではなく、ワンクションおいて住民の代表である議員に決定させるものである。これにより、民衆が熱狂し冷静な判断を失った時にでも、偏りすぎた判断にならないようにするためである。
したがって、アメリカ大統領選挙のように、直接選挙で選ぶ場合は、約半年を掛けて二大政党がそれぞれ予備選を各地で繰り返し、厳選した候補が直接選挙で選ばれる体制になっている。

まあ、ともかく、民主主義とは面倒くさいシステムなのである。そのことを再認識させられた今回の住民投票だ。
賛成、反対とも、大阪市民は必ず投票したいものだ。

なお、今回の住民投票は、賛成が1票でも多ければ、投票総数に関わらず成立してしまうシステムである。
したがって、反対の人は棄権するのではなく、「反対」票を投票しなければならないのだ。